2024年10月3日

着物業界は闇か光か




久しぶりに巻かれました。

巻いてもらいました、ではなく巻かれましたです。


私は、着物業界の衰退は必然だと思っています。

少し語りますが・・・
ふるさと土佐の山間部ではかつては養蚕が盛んで、私の幼い頃にも近所の親戚の家では蚕を飼っていて、蚕がワシャワシャと桑を食む音や、ムンとする匂いの中で遊んでいました。
色も形も新幹線みたいでかわいくて、あの頃は触るのも平気でしたので、蚕の温もりもよく覚えています。

繭から糸を紡いでいたのもうっすらと覚えています。
機織り機がある家もありました。

そんな故郷でも今は、蚕どころか桑畑すら見かけません。


先日、自分で浴衣を着つけてお出かけをした妹娘の感想は、「めんどくさい」でした。
そのめんどくささも趣のウチなのですが・・・けれども間違いなくめんどくさいですよね。
かなり楽な浴衣ですら、めんどくさいんです。


それでも、成人式の晴れ着や、卒業式の袴、結婚式の和装など着物の文化はギリギリで踏みとどまっているなぁと思います。

私も、姉娘の成人式の時に帯を調達したところから、着付け教室に誘われ着物を着るようになりました。

数少ない着物に触れるこの機会に、次に起こることは着物の展示会のお誘いです。
着付け教室の授業の一コマとして、教室で開催されることも多いかと思います。

これが、着物業界の闇か光かというところです。

これは、もう人によって取りようなので、闇なんてないと言えばないのです。

思っている通りや、思った以上のものに出会って、「高い帯買っちゃったから働かなくっちゃ!!」と仕事の活力になる!!という方もいらっしゃると思います。
実際によく見かけます。


私はこの日は、セールをしている情報と期限の迫ったポイントがあったので、「たかはしきもの」の補正のできる肌着を買いに行きました。
「たかはしきもの」の肌着はセール対象外と言われたので(まぁこれは想定内)帯揚げを見せてもらいました。


セールになっている着物は縞大島と、白大島でした。(巻かれた画像の左下にある分です)お値段は覚えていませんが、お安いにしてもまぁまぁな値はついていたような気がします。
これのウチのどれかを巻かないと円満には帰れないのです。

どれを着るのか!と迫られるのです。

いらない!着ない!時間ない!白大島似合わない!!
>お買い得よ!まぁ遊んでって!先生たちは暇だから着せてあげる!白大島いけるやん!!

どれも日本語が通じなくなるのです。

これは・・・巻かないと先生たちは仕事が終わらないのか??と勘繰りまして、もうとりあえず巻かれときましたよ・・・。

お召の展示会も開催されていました。
もういっそ、絶対に買わないと思われるような高いお召の帯を選びました。




猫の顔がかなり好み😍でかわいいのですが、絽のような素材だけど通年使えるのだそうです。
巻いてみたら、見た目よりも軽さも質感もかなり良い帯でした。

試してみたらいい感じ💕 これはですよね。

この帯60万円です。


それは・・・それなりの素材や、職人技や、時間などがかかっており妥当な価格なのでしょうが・・・と思うか思わないかの間に着物業界名物!電卓!!が出てきます。

猫の帯はこの織元さんが試しに作成した、言わば試作品なのでお安くしますよ、と。
仕立て込みで・・・



”社長、やす~い、やす~い!” ってなりますか??
差額の30万円分はなに?売れたらラッキー??

いや、まて、すごくお得でお安いみたいになってますけど、30万円ですよ!

この一連の流れが、”着物業界の闇”ですよね。
こんなんやってたら、衰退しますよ、そりゃ。

はやくほどいて帰りたい一心ですもん。


帯を巻き替えられました。

この帯も絞りの模様でかなり好みの帯です。

グレーよりの白大島だったので少しマシではあるけれども、やはり白大島は似合わないことを再確認!

白くしか見えませんが実際の大島はグレーの綺麗な色味でしたよ。

試しに入れてくれた黄色の帯揚げが思いがけず良かったので、この帯揚げを購入。
半額セールやらクーポンやらなんやかんやで、880円ほどで買えちゃいました。
丹後ちりめんのしっかりとしたよさげな手触りなんです。


今回は、お得な着物が欲しい人でも、お召が見たかった人でもなく、”肌着が欲しかっただけの時間があまりない人”だったので、「闇」感が出てしまいました。

時々登場している吉野格子の単衣は、”低予算で単衣が欲しい人”が催事で見つけた、すごくお得で良く似合った反物だったので「光」でした。


なんというのか・・・客のニーズの把握力がかけ離れているところが、「闇」と言われる所以でしょうか。

今回これでもかなり!控えめに書きました、よ。
光もあると信じていますので。

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