限られた時間ながら、しっかり楽しめた万博の一日でした。
人気パビリオンを巡り、夕食や、花火もしっかりと楽しみ、お土産もなんとか滑り込みで購入できましたので、急いで駅へ向かう準備を始めました。
実は、翌日はユニバへ行く予定だったため、本当はもう少し早く帰りたかったのですが、やはりまあまあな時間になってしまいました。
混雑必至の帰路に備え、まずはトイレを済ませ、お茶を買いました。「これで、あとは駅までの行列をただ歩くだけ」そう思っていた矢先、異変に気づきました。
ゲート前になぜか列ができているのです。
最初はとうとうここまで混雑しているのか、と思ったのですが、よく見ると列を整理しているのは警備員ではなく、警察官です。
しかも、はっきりとストップをかけている様子。
「あ~これは、何かあったな」と、瞬間的に思いました。
◇◆ 21:40 ◆◇
警察官の方に「何がありましたか?」と聞いてみました。
「地下鉄がトラブルで運行停止です。理由は僕らも分かってません。きっとネット情報の方が早いかと思われます」
とのこと。
なるほど・・・。
と言うことは、早くても1時間はどうにもならないな、と思いくつろげる場所を探しましたが、ゲート前のベンチはすでにどこもいっぱいです。
◇◆ 22:00 ◆◇
状況報告のために現在位置を家族に送った際の画像
けれど、ゲート付近の動向を見たかったので、この場にとどまることにしました。
非常事態なので、おかまいなく地面に座り込み、なんとなく長期戦になりそうな雰囲気を感じて、靴も脱いで一日歩いた足を休めます。
周囲から、さまざまな情報が入ってきました。
・コスモスクエア駅が停電し、中央線は運行停止中とのこと。
・バスチケットはネットが繋がらない。(そもそも売り切れです)
・タクシーは「この人数では無理だろう」と諦めムード。
・「近くのコンビニまで家族が迎えに来てくれる」という人もいました。
・周辺の自販機はすべて売り切れ、飲み物の確保もままならない状況。
私たちは、いつもなら花火を横目に見ながら帰路につきます。
夕飯は帰宅後に軽く済ませるので、すきっ腹のまま、飲み残しのお茶を手に、芋洗い状態の長蛇の列にいるはずでした。
しかしこの日は、おなか一杯夜ご飯を食べ、飲み物も調達したばかり。
たまたまゲートを出る前にストップがかかり、適当な場所でくつろぐことができました。
その分、少しだけでも体力を残しておけたのは、ありがたい偶然でした。
運行停止から1時間、場内へのアナウンスはまったくありませんでした。
◇◆ 22:30 ◆◇
夢洲ーコスモスクエア間の折り返し運転が始まったとのアナウンスがありました。
この頃から、ゲート外にいた人たちが場内へ戻ってきます。
この時点で、なんとなく野宿になるのかも・・・と思い始めましたが。
まだ、“まさか”との思いもあります。
◇◆ 22:40 ◆◇
ゲートの外にいた人たちに対して、「会場へ戻るように」とのアナウンスが流れました。
折り返し運転が始まったという情報が出ていたにもかかわらず、ここで「戻れ」と言われるとは…。
今度は場内のアナウンスに、矛盾を感じました。
家族から「万博会場で帰宅困難者続出」と報じるニュース画像が送られてきました。
画面には、混雑する駅周辺前の様子が映っています。
アナウンサーは「折り返し運転が始まったので、混雑は解消に向かうでしょう」などと、適当なことを言っています・・・。
現場にいる私たちからすれば、そんな楽観的な言葉はとても信じられませんでした。
◇◆ 23:00 ◆◇
夢洲駅は停止中とのアナウンスが流れました。
「会場へ戻るように」とのアナウンスもひっきりなしに繰り返されています。
周囲の人がゲート付近まで状況を聞きに行っていましたが、「わからん」と言われたとのことでした。
どうしようもなかったため、次の案内を待ちながら、もう地面に寝転がって休むことにしました。
「折り返し運転が始まれば、もうすぐ帰れるだろう。まさか野宿はさせないだろう」
と、周囲も騒ぐことなく諦めた様子で、静かに待っています。
ただし時々、高齢者のために休める施設を探している方の姿も見受けられました。
◇◆ 24:00 ◆◇
すでに30分以上、何の案内もありません…。
さすがに対応の悪さに呆れました。
9:30分のトラブル発生から2時間半…
夜の12時ですが万博会場内に放置されたままです。
責任者に状況は伝わっていないのでしょうか??
大阪市内住の私たちは、このトラブル発覚時点で
①奇跡的に中央線が復活して遅ればせながら帰れる
②ピストン輸送でコスモスクエア駅>ニュートラム周りで公共交通機関で帰れる
③ピストン輸送でコスモスクエア駅>ニュートラムも×>家人に迎えにきてもらう
④会場から脱出>近くのコンビニへ>家人に迎えにきてもらう
の4パターンを考えていました。
連絡便の最終電車の時間と、列の待ち時間を考えると、①②③はもう無理です。
よし、もう一択だ!
(会場から)出してくれ!!もう帰るんだ!!
と思いゲート付近へ行くと・・・。
「ゲートからは出れません」と・・・。
「放置だ!」と思っていましたが、これはもう「監禁!」でした。
でたいんだよ~。
明日ユニバなんだよ~。
家の人がユニバ行かれへんやん!って怒ってるんだよ~。
ちなみに、実は先日のブルーインパルスの展示飛行の際に、知人が会場すぐ近くのコンビニで見たと言っていたので、その辺にコンビニがあることは知っているんです。
「ゲートからは出れません」と言っている警備員さんが
「すまないね~、私のせいなんです。私の運が悪いんです。
私もA県からわざわざ来たんだけど、こんなことになるなんて・・・
初めてのことで、いや~まいったびっくり。
私の運が悪がわるくて、すみませんねぇ~。
水もトイレもある会場内で安全に過ごしてください」
とおっしゃてて、その会話がおもしろくて、
そうだねぇ、水もトイレもある会場内で安全に過ごすしかないかねぇ~と気持ちを切り替えました。
この会話の最中にも東ゲート付近の施設が消灯されたので
「いや~あそこは消したらあかんやろ~」とおっしゃってました。
施設やパビリオンが消灯すると、いっきに暗くなって足元もあぶないですからね。
✦✦✦ EXPO夜の部 ✦✦✦
と言うことで、野宿が決定したので、まずは散歩することにしました。
「ただいま夢洲駅は大変混雑しております。駅構内への入場を規制しております。」
というアナウンスが入り始めました。
先日私たちも訪れたばかりの「ネパール館」方面は、今回まわれなかったので、パビリオンを見て回ります。
「ドイツ館」の建物が「おもしろい!いい!」と姪ちゃんは興味をひかれたようでした。
そして、ドイツ館の前ではスタッフの方が道行く人に何か食べ物を配っている様子でした。
私たちが通ったときには、ちょうど配布が終了したようでしたが、
近くにいた男性から「ハリボー」をもらいました!
人がいない「タイ館」のゾウさんが撮れました。
えっ・・・なんかいい😍
わっ!!
そうだ!これがあった!!
「ベルギー館」の前にはクッションが置かれているんです。
こんなん寝心地完璧やん!!
ほとんどの人は、大屋根リングの下のベンチや床に横になっていました。
けれど、目を凝らすと、それぞれのパビリオンの趣ある椅子やベンチで、静かに眠る人たちも少なくありません。
まさか、昼間パビリオンに訪れた時は、野宿に適した椅子やベンチだとは思ってもいなかったでしょうが💦 いざとなった時に、パッと思いついたのでしょうかね……。
こういう売り場って人が多くて、普段は近寄ることが出来ないのですが、
「ドラゴンフルーツミルク」が気になる。
あれっ?
人が出入りしているパビリオンがあります。
ここは、大人気で完全に予約がないと入ることが出来なくなった「オランダ館」
エクスペリエンススペースを開放してくれていました。
夜の会場にそっと浮かび上がった、オレンジ色の球体。
その存在のありがたさもあいまって、幻想的という言葉ではとても言い尽くせない光景でした。
ミッフィーちゃんと撮影ができます!
なんと、シールまで頂いちゃいました。
これはうれしい!!
入館困難なパビリオンということを知っている人も、もしかしたら知らない人も、みんな喜んでいました。
昼間は回れなかったエリアを見たり、ひとけのない人気フォトスポットを撮ったりと進んでくると・・・
ドン・ドン・ドン♪
人もたくさん集まっています。
なんと、スタンプを押せるようにスタンプ台を外へ出してくれています💕
この対応に驚きすぎて一瞬で胸が熱くなりました。
しかも、なんだか大きな猫のスタンプです。
「null²」って猫と関係あるのでしょうか?
後ろの人たちは「あ〜、null²だから猫なのね!」と言っていました。
…気になって調べてみたのですが、はっきりした関係はわかりませんでした。
とにかくかわいいです。
スタンプにも限定の物などもあるようなので、これはうれしすぎる!!
「null²」のスタッフの方は館内も開放しようと頑張ってくれていたようです。
お一人なので、それは厳しかったようですが、この時かかっていた
ドンドンドン♪も普段は流せないような特別なDJミックスだったようです。
はんこひとつで、スキップ気分♪の元気がでました。
ベンチもありますので、やはり、この周辺で休んでいる人が多かったです。
ここでは、「非常食」と言って、買ったばかりのお土産を開けて食べている人たちもいました。
周りにおすそ分けしている人もいて、あたたかさが漂っていました。
「マルタ館」もこの暗さの中で美しい映像が胸に染み入ります。
「ポルトガル館」まできたところ、こちらもノリノリの音楽が流れていました。
行列ができていたので、なんだろう?スタンプかな?と思って並んでみたら、
高校生連れだったせいか、親切な方が「ここは、ビール販売の列ですよ〜。中にはそのまま入れますよ〜」と声をかけてくれました。
ありがたい…!
中に入ると、即席なのかもしれませんが、地元の特産品がずらりと並ぶ展示がありました。
思いがけず、美しいレースやきれいなタイルなどの特産品の魅力に触れる時間に。
そういえば「ポルトガル館」の前にはアジアなイメージのタイルのフォトスポットがあるんですよ。
そしてなんと、こんなスタンプを押してもらいました😍
こちらも限定スタンプなのでしょうか。
かわいい花のような文字で「AZORES諸島と大阪の友好2025」の印章のようです。
◇◆ 25:30 ◆◇
早口のアナウンスが流れて、うまく聞き取れなかったのですが、
最後の方の「『null²』と『ポルトガル館』が開いています」そんな部分だけが耳に残りました。
実際にその場を見ていたからこそ、なんとなく理解できた感じです。
もう一度聞きたかったのですが、このアナウンスは一度きりでした。
やがて・・・
「夢洲〜コスモスクエア間は折り返し運転となっております。
ニュートラム・四つ橋線につきましては西梅田まで、お客様がいる限りは運行を続けると確認しております」
一番聞きたかったアナウンスが流れました!!帰れる!!
ただし、「夢洲駅は混雑している。駅構内への入場を規制している。」のアナウンスはあいかわらず続いています。
ちょっと小さいミャクミャクとの写真も撮り放題。
いつも、あ~んなに並んでいる「フランス館」も「アメリカ館」も人がいな~~い!
そういえば・・・と思った「フィリピン館」
ここもラタンの外装の一部がゆったりとしたベンチになっていたんだよなぁと思いだしたら、
やはりいい感じにくつろいでいました。
※前回訪問時のラタンベンチ画像は⇒こちら
そうこうしている間に、気が付けばあれほどひっきりなしだった
「夢洲駅は混雑している。駅構内への入場を規制している。」のアナウンスが流れなくなりました。
よし、混雑も落ち着いたに違いない。帰るぞ!
ゲートに向かうと、驚くほどスムーズに外へ出ることができ、電車もすんなり乗れました。
普段はあまり馴染みのない住之江公園駅から、四つ橋線に乗って「なんば」まで帰ります。
非日常の夜が、いっきに日常に戻っていく感じがしましたが、
駅構内の掲示板に目をやった瞬間、「いやいや」と思い直しました。
このあと、「なんば」まで迎えに来てもらい、姪ちゃんを義母宅へ無事送り届けて、家に帰りついたのは、27時30分すぎでした。
はい、すみません。
実は“オールナイト万博”ではありません。
姪ちゃんも一緒でしたのでね、安全第一で帰ってきました。
✦✦✦ ふりかえり ✦✦✦
📢 アナウンスなし
あれだけの規模の混乱にもかかわらず、公式なアナウンスは上記の内容のみです。
しかも、英語での案内は一度も流れませんでした。国際的な催事なのにひどいです。
“アナウンスがない”これが一番問題だったと思います。
🚇 地下鉄トラブルは想定されていたはずなのに…
交通機関が一本しかないという“弱点”は、事前に分かっていたはずなのに、なぜここまで何も対応がされないのか。
「想定外」ではないトラブルですよね。
🚶♀️ リスクのある人は自主的に動くしかない
高齢者や障がいのある方など、サポートが必要な方も、
アナウンスが一切ないので、自分で判断して動かざるを得ない状況だったと思われます。
空腹の人、飲み物を調達できない人、スマホバッテリーがなくなり情報を手に入れられない人。
夜の万博を楽しめた人がいる一方で、本当に苦痛だった人も多くいたと思います。
🌬️ 会場内の気温は・・・
“灼熱の野宿”になるかと思いきや、海辺には涼しい風が吹いていて、
半袖での私には肌寒いくらいの気温。野外でも意外な快適さに救われました。
🛫 ホテル・飛行機組は最悪
ホテルでの宿泊を予定していた人、飛行機で帰る人にとっては、この混乱はまさに“最悪のタイミング”で“怒り”もわいてきたと思います。
🏛️ 対応してくれたパビリオンに感謝 🙏
消灯するパビリオンや施設があることは、致し方のないことで、
混乱の中で、開けてくれた施設があったことは本当にありがたく、そこに人が集まり、少しでも安心できる場所が生まれたことに救われました。
🤒 体調不良はあったが
体調を崩した人はいたものの、
それでも死者やけが人が出なかったのが本当に幸いだったと思います。
🧭 予行演習だったのかもしれない
今回は命に関わるような緊急事態ではなかったからこそ、
この混乱を通して、課題を炙り出す“予行演習”になったのではないかと思います。
万博の運営にはこの教訓は必ず生かしてもらいたいと思います。
また、状況が不透明な中でも、現場で必死に対応してくださったスタッフの方々には、心からのねぎらいを送りたいです。本当にありがとうございました。