神戸市立博物館で開催中の「阪神・淡路大震災30年 大ゴッホ展 夜のカフェテラス」へ行ってきました。
大阪市立美術館で開催されていた「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」にも足を運びましたので、その余韻が冷めやらぬうちの再びのゴッホです。
実は私、神戸では迷子になりがちなのですが・・・市立博物館は三ノ宮駅からも近く、分かりやすいので迷わずすぐにたどり着きました。
旧居留地の一角にあり、クラシカルな石造りの外観です。
(神戸の方角の確認にはよく、「山が海が」とか言われますが、街中では山も海も全く見えなくないですか?なんとなくあっちが海っぽいかな?と歩いて迷うことがあります。)
かさばらないけれども、A4も入るので、美術館にピッタリです。
(飾りのつもりだった、このひまわりのヘアピンは頻繁に確認する “展示リスト”をサッと挟んでおくのに意外と役立ちました)
平日に訪れた姉娘からは「とにかく混んでいて、じっくり味わうには慌ただしい」と聞いていましたので、休日にしか行けない私たちは、あえて日曜日の正午を狙って訪問。
この“第一陣がハケるであろう時間狙い作戦”が当たったのか、入場予約優先制が功を奏したのか、思ったよりもスムーズに鑑賞できました。
ただし、グッズ売り場はやはり大混雑していました。

今回の神戸展では、オランダのクレラー=ミュラー美術館が誇るコレクションが来日しています。
ゴッホの画業前半・・・オランダ時代からパリ、そしてアルルへと至るまでの歩みに焦点が当てられています。
展示は全5章構成で、彼の画風がどのように変化し、色彩に目覚めていったのかをたどることができます。
また、ゴッホに影響を与えた画家たち、ミレーをはじめ、ドービニーやモネ、ルノワールなどの作品も併せて展示されていました。
ゴッホ展は、ただ絵を見るだけではなく、彼が出会った人々や土地、思想との関係性を感じながら、ゴッホが“ゴッホになっていく”過程を追体験できるのが魅力ですね。
作品の奥にある当時の時間や生きた気配に触れられるような気がします。
ゴッホの絵は色彩が鮮やかで、モチーフも親しみやすいものが多いからか、子どもにも人気があるようで、小さな子どもたちの姿もたくさん見かけました。
オランダ時代の作品は、子供たちが思い描く“ゴッホらしさ”とは少し違っていたようで、展示室ではこんな声が聞こえてきました。
「どれがゴッホ~?」
「あそこからもうゴッホの絵だよ~」
「これは誰の絵?ゴッホの子供~?」
一時期同居していた、街頭で知り合った娼婦とその子どもを描いた作品の前では、どう説明するのかな…と思っていたら、
「この女の人は街におって、仲良くなって一緒に住んでいたんだって~
その人の子どもなんだって~ かわいそうって思ったんだって~」などとそのまま説明していました。
絵の背景にある人間関係を、子どもなりに受け止めているんだなぁと、思わず耳を傾けてしまいました。
今回の展示では、《夜のカフェテラス》《自画像》《草地》《レストランの内部》《石膏像のある静物》の5点が写真撮影可能となっていました。
特に、約20年ぶりに来日した《夜のカフェテラス》は大人気で、撮影専用の列と鑑賞用のコーナーに分けられていました。
一見すると、うまく整理された導線のようにも見えましたが、少し間違えば「撮りたい人も、じっくり見たい人も、どちらも満足できない」そんなもどかしさも感じる配置でした。
もう少し観賞用のスペースを大きく撮るべきだったのでは?と思います。
SNSなどでは、実際に訪れた方々がアップしている写真も見かけましたが、ピントが合っていなかったり、斜めからの撮影になっていたりと、なかなか思うように撮れなかった様子や、間近でじっくり鑑賞もできなかった状況も伝わってきました。
幸い、私たちが訪れた時間帯は混雑がそれほどひどくなく、比較的しっかりと鑑賞と楽しむことができました。
撮影レーンでの撮影については「一人1枚まで」との案内がありましたが、私たちは家族3人で訪れていたので、3回分のチャンスがありました。
そのおかげで、「もし自分が失敗しても誰かはいい写真が撮れるだろう」という安心感があり、逆に気持ちに余裕ができて、思っていたような写真を撮ることができました。
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《夜のカフェテラス》
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最前列が写真撮影レーンなので、鑑賞者はその後ろのスペースになるのですが、
タイミングによっては最前列と遜色ないような撮影をすることも出来ました。
《夜のカフェテラス》は娘が小学生の時に版画を掘ったり、パズルを組んだり、陶板を贈ったりと親しんできました。
また、先日の大塚国際美術館で実際の大きさも予習済みでしたので、余裕を持って本物に触れ合うことも出来ました。(笑)
大塚国際美術館の話は⇒
こちら(夜のカフェテラスには触れていないはずですが・・・)
モナ・リザではありませんが、実物を前にすると、まず、大きい小さいと絵画のサイズに対しての感想をよく聞きます。
私は、意外と凹凸が少ないんだぁと思ったのと、
空の感じはプリントなどで見た通りなのですが、下の路面の部分がプリントで見る物とは色彩も全く違って見えました。
ゴッホは、当時としては珍しく屋外での制作を好んだ画家だったそうです。
《夜のカフェテラス》も、アルルのフォーラム広場で実際に夜の空気を感じながら描かれた作品。
その“現場の暗がり”に身を置いていたからこそ、この輝くような黄色や深い青が生まれたのかもしれないなぁ…と感じました。
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《自画像》 |
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《草地》 |
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《レストランの内部》 |
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《石膏像のある静物》 |
ゴッホは人物を描くのが好きだったそうですが、モデルを雇う余裕がなかったため、自画像を多く描いていたとのこと。
自分自身を見つめて描いた絵だと思うと、そのまなざしにも自然と目が留まります。
様々な画家から影響を受けながら、色彩や筆致を自分のものにしていったゴッホ。
そんな“ゴッホらしさ”が確立されていく過程の絵画を、実際に目の前で見て、しかも写真に収められるというのは、なんとも贅沢で嬉しい体験でした。
グッズ購入品
今回の購入品はこちらです。
・図録
・夜のカフェテラスの額装用アートプリント(額は後ほど自前で探します)
・ロルバーン
・ハンカチ
・絵葉書
図録は・・・今年は何冊目なのでしょうか。
図録貧乏なのですが、買わない選択はありません。
今回のロルバーンは「草地」や「アルルの跳ね橋」などもありましたが、
やはり、「夜のカフェテラス」を購入しました。
ゴッホのネームの入ったプロテクターはゴールドが良かったのですが、売り切れていたのでシルバーを購入してきました。
ハンカチは「野の花と薔薇のある静物」を選びました。
ゴッホの花の絵好きなんですよね。
実際に使用するシーンでも華やかな気分になりそうです。
来歴が不確かだったため、長らく真贋が疑問視されていたこの大きな静物画ですが、最近のX線検査によって、下層にふたりのレスラーが描かれていることが判明しました。
この“レスラーの下絵”は、ゴッホがかつて描いたとされる失われた作品と一致しており、技法や絵具の使い方、構図の特徴などの分析結果からも、ゴッホの真作であると認定されたそうです。
かなり大きな絵で迫力があるのですが、そんな背景を知ったうえでこの作品を目の前にすると、静物の奥にもうひとつの絵が眠っているという事実に、静と動の気配が重なり合うような不思議な感覚を覚えました。
購入したポストカードはこちら。
実は、「女の頭部(正面向きの人物画)」「秋の風景」などが印象に残ったのですが、
「秋の風景」の感動はとてもポストカードに収まるようなものではありませんでした。
「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」は先日の大阪展で「雪のモンマルトル」を見たので
特に気になっていました。
ちなみにモネやピサロ、ルノワールなどゴッホ以外の画家のポストカードばかり持っている人も見かけました。
ゴッホ展に来ているのですから、意外な発見だったのでしょうか・・・。
2027年には「アルルの跳ね橋」も来日するようなので、今から楽しみです。