国立西洋美術館の常設展&小企画展デューラーへ
本当は常設展もじっくり回りたいところなのですが、このあともう一館、美術館へ行く予定がありますので・・・。
美術館2館でも十分ハードなのに、常設展もじっくり見てしまうと、ほぼ“3館巡り”状態。
ここは少しペースダウンして、常設展はさらっとだけ覗くことにしました。
ちなみに、当ブログの演出の都合上(笑)、紹介順は実際の鑑賞ルートとはほぼ逆です。
✒️ 「物語る黒線たち デューラー『三大書物』の木版画」展
まずは今回のお目当て、デューラーの小企画展。
デューラーの 「三大書物」 とは
『黙示録』『大受難伝』『聖母伝』の三つを指します。
国立西洋美術館は、これらを半世紀以上かけて収集してきたそうで、2020年度に『黙示録』、2022年度に『聖母伝』を購入したことで、
ついに 1511年版の三大書物すべてを所蔵するに至ったとのこと。
今回の展示は、その木版画を“本として刷られた状態の紙”のまま一挙公開するという、なかなか貴重な機会でした。
今年“気になる存在”だったデューラー
実は私、大塚国際美術館を訪れた際の総括で『私の“気になり絵画”ベスト10』を勝手に選んでいたのですが、
その第8位に挙げていたのが アルブレヒト・デューラーの《自画像》だったのです。
大塚国際美術館を訪れた際の記事は⇒こちらから
『私の“気になり絵画”ベスト10』は⇒こちら
あの端正な顔立ちのイケメンぶりに惹かれ、そこから少し調べてみたところ、デューラーは ドイツ・ルネサンスを切り拓いた巨匠 で、15〜16世紀初頭に活躍した人物。
木版画を単なる挿絵ではなく、独立した芸術として高めた革新者で、イタリアやネーデルラントを旅し、当時もっとも国際的な芸術家の一人、トップアーティストだったそうです。
そんな背景を知ってから今回の展示を見ると、黒線だけで物語を立ち上げるデューラーの迫力に、新たな世界観を発見した気持ちです。
どの絵がどの書物かまでは細かくは追えなかったのですが、
私が特に足を止めたのが『聖母伝』の中の、“エジプトへの逃避”の場面でした。
西洋画によく描かれる“エジプトへの逃避”のシーンですが、この絵は物語性があって本当に本を読んでいるような感覚です。
まさかのオルセー×デューラーで、気分は完全に“二度おいしい”美術展でした。
常設展で“再会”を楽しみにしていたのですが…
今回、常設展示で密かに楽しみにしていたのは、
今年、京セラ美術館の「どこ見る?どう見る?西洋絵画!」で見た、国立西洋美術館所蔵の作品たちを、ついに“本家”で見ること!
ただ、あの展覧会は展示替えがあったため、
図録には載っているのに、実際には展示されていなかった作品がいくつかあったんですよね。
ところが今回、国立西洋美術館の常設展では、
その“見られなかった側”の作品が展示されているという、ちょっと面白い状況に。
京セラ美術館の「どこ見る?どう見る?西洋絵画!」の話は⇒こちらから
今回出会えた作品たち
| ウィリアム=アドルフ・ブーグロー《小川のほとり》 |
京セラ美術館では《羊飼いの少女》が展示されていたので、今回はその“展示替え版”にあたる作品。
こちらの作品も見てみたかったなと思っていたので、すぐに目に着きました。
| ダニエル・セーヘルス+エラスムス・クエリヌス《花環の中の聖母子》 |
「どこ見る?どう見る?西洋絵画!」で見た《花環の中の聖家族》は、
中央がモノクロで描かれていたタイプで、その雰囲気がとても印象的でした。
花環画は作品によって中央部分の描き方が異なるので、「カラーのタイプも見てみたいなぁ」と思っていたんです。
ちょっとした願望が叶った気分でした。
| ヤコポ・ティントレット《ダヴィデを装った若い男の肖像》 |
| アンドレア・デル・サルト《聖母子》 |
| アドリアーン・イーゼンブラントに帰属《王座の聖母子》 |
今回の常設展では“京セラ美術館で見られなかった側”の作品たちを、
こうして本家で見ることが出来たのですが、
展示替えがある展覧会だと、
図録に載っている作品を自分は実際に見たのか、見ていないのか、
あとから分からなくなることがよくあるのですが・・・
今回の図録に関しては、その心配が要りません。
さて、その他の常設の展示ですが、
| ルノワール《横たわる浴女》 |
オルセー展の《大きな裸婦》の説明文に「ルノワールは裸婦を好んで描いた」とあったとき、
あれ、そうだったっけ?と半信半疑だったと前の記事に書いたのですが
あ、ほんとだ。
| ルノワール《帽子の女》 |
| ベルト・モリゾ《黒いドレスの女性(観劇の前)》 |
ベルト・モリゾは、マネの弟・ウジェーヌ・マネと結婚していたので、
エドゥアール・マネの義妹にあたります。
そのため、オルセー展でもマネが描いたモリゾの肖像が数点展示されていました。
一方で、モリゾ自身も印象派を代表する女性画家のひとり。
自分の作品を数多く残している、まさに“描く側”の人です。
描かれたり、描いたり…しているなぁと眺めてきました。
そしてこの頃になると、
絵画を見すぎ&説明文を読みすぎて、だんだん頭がバグってきまして…😰
マネが描いたモリゾの中に、同じような「黒いドレス」描かれた作品があるので、
「あ、これはモリゾが描いたモリゾ…つまり自画像だな!」
と、勘違いして見ていました。
ダメじゃ~んと思うでしょ。
しかしこの話にはまだ続きがあって、帰って図録やハガキを見ながらこ自分の間違いに気づいていたところ……
なんと、この絵のモデルは別の女性なのに、着ているドレスはモリゾ本人のものらしいのです。
つまり・・・
「黒いドレス=モリゾ本人」と思ってしまったのも、あながち間違いではなかったようです!
という、ちょっとしたオチがつきました。
| ビアージョ・ダントニオ・トゥッチ《聖母子と幼児洗礼者聖ヨハネ》 |
新収蔵作品もたくさん並んでいたのですが、
そのなかでも ひときわ目を奪われたのが、この表情。この目。
やばくないですか👀
幼児とは思えない表情ですよね。
しかし、たくさんの絵画を見すぎて、この時の私も、きっとこんな表情になっていたに違いありません…。
さて、順序としては全ての展示を見終わったあと、まずは“オルセー展”のグッズを購入したのですが、実は常設のグッズコーナーもありまして…。
常設コーナーでは、モネの付箋と、ラムネケース、絵葉書を購入しました。
勘違いしたモリゾの絵葉書買ってますよね(笑)
最期に、前庭に出てロダンの彫刻を眺めました。
有名な《地獄の門》ですね。
さりげなく展示されているので、複製だろうと思われそうですが、
ロダンの原型をもとに、鋳造された正式な作品で、いわゆるレプリカではなく“本物”として扱われています。
世界に 7つのオリジナル鋳造が存在するそうです。
| アントワーヌ・ブールデル《弓を引くヘラクレス》 |
ロダンの弟子であり、のちに“後継者”とも言われる彫刻家による力強い作品です。
私、弓道をやっていたことがあるので、弓を引くときの形(射形)には、ついつい目がいってしまいます。
この日は何かの謎解きイベントがあったようで、作品の前には真剣な表情の人たちが集まっていました。
| 《カレーの市民》 |
・・・あ、いえ、この人たちのことではありません。
思わぬ上野散策になり、次の予定があったので内心ちょっと焦っていたのですが…
幸い、国立西洋美術館はそれほど混んでおらず、
「見られたらいいな」と思っていたデューラーや常設展もしっかり見ることができました。
気づけば 12時40分すぎ。
10時半頃に着いたので、ここまでで ちょうど2時間でした。
次の目的地、六本木への行き方を調べてみて、ハッと気が付きます。
充電が・・・60%を切っている!!
常設展がまさかの“撮影し放題”で、つい写真を撮りすぎたのか…
もしくは上野散策中にグーグルマップをつけたまま閉じ忘れていたのか……。
今日はモバイルバッテリーを持ってきていないので、かなり焦り始めます。
迷いに迷って、最終的には“仲御徒町”駅まで歩いていました💦
上野周辺の駅!ややこしすぎます!!
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