2025年12月22日

出張という名の東京観光記⑤ オルセー展レポ 撮影OKの名作とグッズ紹介

🎟️予約チケットがスムーズ


「オルセー美術館所蔵 印象派―室内をめぐる物語」展は大人気の様子なので、
本当は早朝に富岡八幡宮へ参拝したら、そのまま真っ直ぐ美術館へ向かうつもりでした。

うっかり上野を散策していたので、出遅れたかと思っていましたが、
先にチケットを予約していた場合は並ばずにすぐに館内に入ることが出来ました。 
(こちらのチケット予約には日時の指定はありません)



オルセーの印象派が10年ぶりに大規模来日、今回は特に「室内」に注目した面白い展示です。

いくつかの作品は写真撮影もOKとのことで、額装も記録に残せるし、ブログでも紹介ができるので楽しみです。

◆ エドガー・ドガ《家族の肖像(ベレッリ家)》





まずは、最初に撮影が出来る、今回の展示の目玉のひとつとなっている作品です。
若き日のドガの傑作であり、完成させた作品の中で最大のもの。

夫の政治的事情でイタリアに身を寄せていた叔母家族を描いたもの。
なんと10年もかけて描かれた作品とのこと。

実は、2大看板のこちらの作品は、今回の展示まで存じ上げなかったのですが、
とても大きな絵でその迫力に感動しました。

絵の中に描かれた緊張感と距離感がひしひしと伝わってくるのですが…



長女と目が合うのです。

次女との対比がリアルすぎて…
これは・・・ぜひ行って自身の目で見て欲しい体験だなぁと思いました。


◆ ピエール=オーギュスト・ルノワール《ピアノを弾く少女たち》





今回の私の大本命、ルノワールの《ピアノを弾く少女たち》は、
同じような構図で5~6点描かれているのはご存じでしょうか。

その中でも、オルセー美術館所蔵のこちらは、フランス政府がルノワールに依頼し、国家買い上げとなった“本命バージョン”

2人の少女のひじがカギカッコのように画面を囲む構図になっており、
先日の「大塚国際美術館」で購入してきた、陶板画にも描かれていたように、
もっともポピュラーな構図です。

※大塚美術館に行った際の記事は⇒こちらから

大塚国際美術館の陶板画




今回は、このように譜面台を添えて展示してありました。
この譜面台は裏面にも同じような装飾があり、バイオリンなど向かい合わせに演奏をする際に使用するそう。

ところで、先日足を運んだ、神戸市立博物館で開催中の「阪神・淡路大震災30年 大ゴッホ展 夜のカフェテラス」では、
同じく大人気の『夜のカフェテラス』をはじめとして数点の作品が写真撮影可でしたが、
なかでも『夜のカフェテラス』については、撮影専用の列と鑑賞用のコーナーに分けられていました。

その導線によって、撮影は1枚で通りすぎ、鑑賞したい人は撮影者の後ろから覗き込む
「撮りたい人も、じっくり見たい人も、どちらも満足できない」状況が危惧されましたが、
今回の展示では、その辺が絶妙に配置されていたように感じました。

まず、全体的に作品が大きいので、最前列で見なくても十分鑑賞が出来ます。
各部屋に写真撮影可の作品を分けて配置し、大きな作品と、じっくり鑑賞したい作品がちりばめられているので、来場者は思い思いの作品に分散していたように思います。

《ピアノを弾く少女たち》も思い思いの角度で撮影しているので、正面のポジションも混雑がなく譲り合ってすぐに撮影することが出来ました。


そして、生《ピアノを弾く少女たち》の鑑賞の感想は・・・
まさかの、「わっから~~ん」でした。

ルノワールの絵って、近づくほど輪郭が溶けていくんです。




ルノワールというか、印象派に通じることかもしれませんが、“視覚の距離”を計算して描かれていると言われているように、
近寄れば近寄るほど、「そこにその色をもってくる??」みたいな、抽象的になっていくんですよね~。

でも、離れてみると、ちゃんと写実。
うん、わからん。

とにかく、色がいっぱいでした。


 ◆ アウベール・バルトロメ《温室の中で》






こちらも大きな作品です。

外の光の加減と温室内のコントラストや、迫力が「すごい!」の一言です。

絵のモデルの奥様のプロスペリーは若くして結核で亡くなり、バルトロメは深い悲しみに暮れ、妻のドレスを記念として大切に保管し、後にオルセー美術館に寄贈したとのこと。

ドレスをパッと見た時は、絵を基に復元したものかと思いましたが、なんて貴重なものなのでしょう!!


そして最後の部屋は、なんと部屋ごと写真撮り放題でした。




エルネスト・クォスト バラ


◆ クロード・モネ《睡蓮、柳の反映》





縦約2m × 横約4.2mの巨大な油彩画でした。

モネらしい、池の水面に映った柳のリフレクションを描いた作品ですが…
これも、近くで見ると何が描かれているのかわからないほど抽象的。

オランジュリー美術館の巨大パノラマ「睡蓮」の“試し描き”の位置づけなんだそう。




長く行方不明だった作品が2016年にルーヴルで発見され、松方コレクションの一部と判明し、後に寄贈され、現在は国立西洋美術館の所蔵とのこと。

上部は湿気などで欠損した状態で見つかり、1年かけて修復された姿です。


「睡蓮」の作品は他に3点ありました。









花盛りの、色鮮やかな睡蓮と、色が退色している毛織物の睡蓮です。


◆ ギュスターヴ・カイユボット《雛菊の花壇》





右下の空間が妙に気になるのですが、作者が完成させる前に亡くなってしまったため、本来どんな意図があったのかは分からないままなのだそうです。
もしかすると、当時の室内で置かれる家具や調度品に隠れることを前提にした部分だったのかもしれません。

未完成ゆえの“余白”が、かなり謎めいていて、作品の魅力になっている気がします。

🛍️グッズ紹介


さて、「オルセー展」といえば……やっぱり気になるのは グッズ ですよね。

というわけで、購入したグッズをご紹介します。

まず、グッズは大人気
グッズエリアに入るには一度外に出て並ぶ必要がありましたが、
前庭を眺めながら待っていると 10分ほどでスッと入場 できました。

ただし、ここからが本番。
グッズコーナーがとにかく狭い!
完全に一方通行で、前の人が進まないとこちらも動けません。
つまり、気になるものは“その瞬間に掴む”しかない。
ほとんど戻ることはできません。
もちろん、2周・3周と回ることは可能なのですが…

それにしても 動線が細い!狭い!
人気展のグッズ売り場としては、なかなかの難易度でした。


購入してきたグッズはこちら…。
せっかくなので、大塚国際美術館で買った陶板画を飾っている“ピアノコーナー”からお届けします。(笑)




・図録は(ベレッリ家)版のカバーと2パターンありました。3,300円 (税込)

今年は、絶賛、図録貧乏中ですが、これは購入すると決めていました。
ただ、図録ってとにかく重いんですよね。
そのため、最初から “リュックになるタイプのかばん” を持参して挑んでおります。






サブレミシェルさんの、「ヴォヤージュサブレ缶」2,300円(税込)





アンティークキー型キーホルダー1,980円(税込)
トランプ1,760円(税込)

大人気の 「FEILERのシュニール織ハンカチ」 は、もちろん完売。
さらに、フランスを代表するヘアアクセサリーブランド
「アレクサンドル ドゥ パリ」 のヴァンドームクリップ(20,900円・税込)も、このお値段なのにすでに完売。
(ネットに完売情報が出ていたので折り込み済みです)

気になっていたトートバッグは、実物を見ると少しサイズが小さめで今回は見送り。
そして…かなり良かった ジオラマ アクリルスタンド。ただし、各1,980円。
うん、これはちょっと悩む値段・・・悩んでしまったので、掴んでこれませんでした(笑)
(いや、それは大げさですが)


今回良かったのが、トランプ!!
こちらを購入したので、今回はポストカードは見送りました。

🃏 トランプで振り返る推し作品たち


それでは、今回購入したトランプを紹介しながら、
展示で気になった作品たち、そして今回の“一押し”を振り返っていきます。
(本命の《ピアノを弾く少女》はすでに語ったので、それ以外で。)




◆ エドゥアール・マネ《エミール・ゾラの肖像》

ゾラは、当時批判の的だったマネを公然と擁護した数少ない人物のひとり。
今回の展示は「室内にめぐる物語」に光を当てた構成ということもあり、
このように 画家を支えた友人や理解者たちの姿 も多く取り上げられていました。



注目したいのは、背景に描き込まれた絵です。
こちらでは少し見切れていますが、実際には 浮世絵の版画 や 《バッカスの勝利》の複製、そして 《オランピア》 など、実在する作品が細かく描かれています。
こうした“背景の情報量”が本当に楽しくて、見れば見るほど面白い一枚でした。




◆ エドガー・ドガ《ロレンソ・バガンストとオーギュスト・ドガ》
◆ エドゥアール・マネ《ピアノを弾くマネ夫人》

そして、ここにはもう一点、
◆ エドガー・ドガ《マネとマネ夫人像》
も展示されていたのですが…こちらはトランプには入っていませんでした。
というのも理由がありまして。

ドガは身近な家族や友人を多く描いた画家で、マネ家とも音楽会などを通じて交流がありました。
その中で描かれた《マネとマネ夫人像》には、ソファに座るマネと、ピアノを弾く妻シュザンヌの姿が描かれています。
ところがこの作品、右側のマネ夫人の顔の部分が切り取られているのです。

実はこれ、ちょっとした事件が背景にあります。
ドガが友情の証としてこの絵をマネに贈ったところ、
マネは「妻の顔の描写が気に入らない」と激怒し、なんとキャンバスを破ってしまったのだとか。
後日その状態を見たドガも当然怒り、絵を持ち帰ってしまったという、なかなかの修羅場エピソードです。
(のちに二人は仲直りしたと言われています。)

顔の部分が切り取られた《マネとマネ夫人像》のほうがインパクトは抜群なのですが…
まぁ、さすがにトランプには入りませんよね。

切り取られた顔がどんな表情だったのか・・・そんな興味が湧いたところに、
ちゃんと《ピアノを弾くマネ夫人》 の展示も並んでいるので、満足しました。

ちなみに、もう、どっちがドガで、どっちかマネか、わけが分からなくなっています。





◆ ピエール=オーギュスト・ルノワール《大きな裸婦》
◆ ピエール=オーギュスト・ルノワール《読書する少女》

ルノワールは“裸婦”を好んで描いたとのこと。
この時点では、そうだったっけな~?と思いましたが、後ほど納得しました。

《読書する少女》は可愛すぎて!!魅入ってしまいました。




◆ アンリ・ファンタン=ラトゥール《花瓶にいけられた菊》
◆ ピエール=オーギュスト・ルノワール《グラジオラス》

ラトゥールは夫婦そろって、同じように素敵な花の絵を数多く残していますが、今回のトランプには採用されていませんでした。

この《花瓶にいけられた菊》は、花のボリューム感が本当に見事で、思わず魅入ってしまうほど印象に残った一枚。
一方でルノワールの《グラジオラス》は、実物を間近で見たときはどこかバランスが悪く感じたのに、こうして距離を持って見ると、飾りたくなるようなまとまりのある美しい絵に見えるから不思議です。




◆ クロード・モネ《アパルトマンの一隅》
◆ クロード・モネ《七面鳥》

今回の一押しは、なんといっても 《七面鳥》 です。

トランプでは絵が少し見切れてしまっていて、
「これだけはポストカードを買っておけばよかった…」と、あとからじわじわ後悔中です。
実物の印象が強かっただけに、なおさら惜しい一枚です。

ぱっと見では室内画には見えませんが、
実はこれは 室内の壁面を飾るための装飾画。

生活空間の中に、この大量の“七面鳥”がドーンといると思うと、
なんだか面白くないですか?

これって、日本で言ったら、伊藤若冲《動植綵絵 群鶏図》のにわとりみたいな感じ?

賑やかそうですしちょっとクセになる作品です。


ということで…
トランプ54枚では、紹介したい作品が全然足りませんでした!!

そこで考えました、
 “ミニ図録かるた” はいかがでしょうか。
読み札は、作品の説明や、エピソードなどを添えて。

かるたの方が枚数が限られる分、
いっそ「いろは」にしばられないとか、
展示替えなどで「全2セット」みたいにコレクション性も展開して。

え~美術館や、担当の皆様いかがでしょうか・・・ぜひご検討を。


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