2025年12月26日

出張という名の東京観光記⑧ 「マチュピチュ展」へ行ってきた ~アイ・アパエックの冒険が想像以上に壮大だった~ 



皆さまも、そろそろモチェ文化の魅力に引き込まれてきたのではないでしょうか。
ということで、次の章へ進みます。


🗡️モチェの英雄アイ・アパエックの冒険



アイ・アパエックは、モチェ文化で「最強の守護神」かつ「英雄」として描かれた存在です。

『むかしむかし、海の向こうから怪物が現れ、村を苦しめました。
祈りを受けたアイ・アパエックは、ジャガー・蜘蛛・蛇の力をまとい、三つの世界を巡って怪物の巣へ向かいます。
そして天空・地上・地下の力を合わせ、ついに怪物を打ち倒す・・・』


パネル展示と実際の土器や装飾品が重なり合い、

アイ・アパエックの神話世界への没入感がすごくてさらに盛り上がってきます。


「斑点のある犬」紀元後100-800年 ラルコ博物館


「山上を飛ぶアイ・アパエック」
紀元後100-800年 ラルコ博物館


地平線の向こうに消えてしまった太陽を探す冒険の始まりです。

山上を飛ぶアイ・アパエックはヒメコンドルに乗っていますが、このあたりで、
犬に鳥にで「まるで桃太郎やね」と言っている人がいました。

確かに、猿もでてきそうな雰囲気です。
が、実際にこの冒険を共にするのはトカゲです。

「耳飾り」紀元後100-800年 ラルコ博物館



めっちゃ!好きなデザインです!!




『アイ・アパエックは三つの世界を旅しながら、次々と立ちはだかる課題に挑みます。
ときには犬やトカゲを従えてヒメコンドルにまたがり天空へ向かい、
ときには超人的な力を宿すウニやフグ、カニたちと対決し、その勝利によって力を蓄えていきます。』

本展では、彼が状況に応じてさまざまな動物の姿へと変化しながら世界を渡り歩く姿を、多彩な作品を通して体感できます。


「カニと戦うアイ・アパエック」
「カニの姿をしたアイ・アパエック」
紀元後100-800年 ラルコ博物館




これ、あの“カニの壺”やん!!!

万博でモチェ文化を知ったとき、自分で調べて強く印象に残っていた“カニの壺”。
その実物を今回見られて、思わず息をのんでしまいました。

“なんでカニ~!!”と思っていたのが、背景も知って必然に見えてきます。



  • 「アイ・アパエック神の旅」紀元後100-800年 ラルコ博物館



アイ・アパエックが、三つの世界を巡る姿を描いた土器作品。
ネコ科動物の牙を思わせる表情や、異界をつなぐ装飾を身にまとい、天空・現世・地下世界を自在に行き来する存在として表されていました。
モチェの人々は文字を持たなかったため、こうした土器に神話や世界観を表現しており、こちらも「神が世界を維持するために旅を続ける」という物語を今に伝える重要な作品です。





『今度は海の世界で、超自然的な力を持つフグやウニと戦い、勝利することで新たな力を得ていきます。』


「フグの姿をしたアイ・アパエック」
西暦100-800年 ラルコ博物館


『フグの姿をに姿を変えたアイ・アパエックは、身を守るためのトゥミ刀を携え、地下世界とつながりを持つ梟の冠を身につけて、海の領域からさらに深い地下世界へと踏み入っていきます。』


「巻貝ストロンバスの中のアイ・アパエック」
紀元後100-800年 ラルコ博物館


『巻貝の怪物は海の世界でも特に危険な存在であり、アイ・アパエックにとってこの怪物への勝利は物語の中でも最も重要な場面のひとつです。
彼は強大な敵を打ち倒し、その殻を住みかとすると同時に、水がコミュニティへと巡り戻るよう願って、山に住む水の神へ最上の供物としてこの螺旋の貝殻を献上します。』

螺旋が大事!という最初の展示と結びつきますね!!




「トウモロコシの姿をしたアイ・アパエック」
「唐辛子の姿をしたアイ・アパエック」
紀元後100-800年 ラルコ博物館





これこれこれ!!

今年の7月、万博で初めてその存在を知って“いつか見たい”と思っていたのに、まさか地球の裏側にあるものを、数か月後に本当に目にすることになるなんて思ってもいませんでした。「とうもろこし神」。

なんでそんなことに?!と思っていましたが・・・。







『モチェの英雄は暗闇から太陽を救い出しました。
世界に秩序と光を取り戻した英雄は、やがて自らの役目を終えつつありました。』


「シワの刻まれたアイ・アパエックの頭部」
紀元後100-800年 ラルコ博物館

『年老いた英雄は最終的に処刑人と対峙して敗れ、死を受け入れて、祖先たちの世界へと歩みを進めます。』

こんなに深い皺を帯びた老人の姿で表現されたアイ・アパエック東部像も残されています。


『死者の世界へ下っていった英雄は、そこでメンフクロウのシャーマンと出会い、母なる大地と結ばれることで生殖力を取り戻します。
そして、この地で栽培される作物としてよみがえり、再び世界に生命をもたらす存在となります。』


「メンフクロウのシャーマン」
「先祖と母なる大地の結合」
紀元後100-800年 ラルコ博物館

『こうして共同体は豊作を保証され、3つの世界がすべてつながりました。太陽は毎日戻ってくるでしょう。台地には恵みの雨が降り、種は芽吹いて成長をはじめるのです。命の循環は続きます。』

なんと「とうもろこし神」は甦った英雄でした😮!!!



「神話の豊饒の場面が描かれた儀礼用の杯」
ランバイェケ文化
紀元後700-1300年 ラルコ博物館



ここまでアイ・アパエックの物語を学んできて、私には日本ではスサノオの姿が重なるように思いました。
荒ぶる力を持ちながらも、怪物を倒して世界に秩序を取り戻すという点で、スサノオの神話とアイ・アパエックの物語はとても似ているように感じました。

また、太陽を取り戻すエピソードは、アマテラスの天岩戸神話や、卑弥呼の死の際に語られた日蝕の脅威とも通じますよね。

7月に万博で知った時にはユニークな文化だと思いましたが、モチェの神話を知って、日本人にも親しみやすい感覚だなぁと感じました。


また、この展示が上手ですよね~!!

他の見学者も、思いがけない文化の展示に驚きながら、真剣に見入って「太陽が大事!なのね。」などと、それぞれに感想を語っていました。

次の展示は少し趣が変わります・・・。

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